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マルチレイヤーカーボンファイバー
カーボンファイバー(炭素繊維)を一定の方向に隙間なく並べてシート状に樹脂で固める。そのシートをさらにさまざまな角度で積層させることで、強度やしなり具合を自在にコントロールできます。これが「マルチレイヤーカーボンファイバー」のメリットであり、難しいところでもあります。
さらにプレス成型する「マルチレイヤーカーボンファイバー」を、繊維の乱れが目立たないように加工するのは至難の業。VAIO開発チームが徹底的にこだわったのは繊維の美しさ。細心の注意をはらって成形後の美しさが追求されています。薄く成型しつつ、かつ超高精度で大量に生産するのが難しいため、開発は困難を極めました。
宇宙船や無人探査機など、現代の宇宙工学で想定される「最も過酷な要求」にも応える「マルチレイヤーカーボンファイバー」ならではの性質。それが軽さと剛さです。マグネシウム合金を使用した場合より、約3割軽く、剛性で2倍の強さを誇ります。つまり、パソコンのキャビネットに使用した場合なら、同じ強度でマグネシウム合金よりも薄く、軽くすることが可能。これはモバイルマシンにとって理想的です。さまざまな特性の繊維が取り揃えられている中、マグネシウム合金が相手では、汎用用途の糸では力不足。さまざまな実験の結果、選んだのは、高弾性高強度系に属する糸。レーシングカーのコックピットをクラッシュから守るのと同レベルのものでした。
時は1960年代。アメリカとソヴィエト(現ロシア)は、国家の威信をかけて航空・宇宙工学競争にしのぎを削っていた。勝利の鍵を握るのは、より軽くて強靭な材料の開発。技術者たちが目指したのは、高性能なカーボン繊維の量産である。これを樹脂で固めると、アルミや鉄をはるかにしのぐ、軽量・高強度・耐熱材料が生み出せる。しかし、そのためにはミクロンのオーダーで品質を安定させるノウハウが欠かせない。国家レベルのプロジェクトでも切望されつつ、「夢の先端材料」の開発は困難を極めていた。
そんな中で1971年、世界に先駆けて量産化に成功した企業があった。それが東レ株式会社である。早く「トレカT300」は合金の約2倍の引張強度を発揮。その衝撃の大きさは、世界の繊維・からナノ単位の超微細加工技術を磨いてきた成果だった。
このときに製品化された複合材料界で「トレカを追い越せ」が合言葉になったことからも伺える。現在、カーボン繊維は鉄と比較して比重が約1/4、比強度は約10倍を超えるまでに進化している。
※内容は2005年夏モデルtype T VGN-T92PS・T92S発表時のものとなります。
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