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クイーンのミュージカル上陸間近 [2005.05.03]
 QUEEN周辺がにぎやかだと、前回お伝えしました。
 QUEEN再始動に呼応するように、日本にQUEENのミュージカルが上陸するというのですから、「にぎやか」が「騒ぎ」になりそうな気配です。
 そのロック・ミュージカル、「WE WILL ROCK YOU」が5月27日から新宿コマ劇場で公演されるのです。それも日本にはめずらしく、3ヶ月のロングラン。
 日本のクイーン・ファンは、議論好き?だから、今回も賛否両論が飛び交うことは必須。その意見を読むのも楽しみですが、賛成派は「クイーンの楽曲が時代を超えて広く愛されるのは、よいことじゃないか」と書きこみ、反対派は「クイーンが出もしないのに、誰が誰をロックするんだよ」という論調になることは、目に見えています。

 ただ、見えないこともあります。それは、ミュージカル「WE WILL ROCK YOU」に私がどのくらい魅了されるかという、肝心な点。
 作りには心配していないんです。しっかりしたプロ中のプロが作っています。ステージに立つのも、ミュージカルのプロたち。それでも、ステージばかりは、観てみないことにはわからない。でも、書いてみますね。情報をお伝えするという意味合いをこめて。
 「WE WILL ROCK YOU」は、2002年ロンドン、ウエスト・エンドのドミニオン・シアターで初演され、今までに300万人の観客を動員したそうです。
 ブライアン・メイとロジャー・テイラーが構想、ステージ・デザインにアイデアを出し、俳優とミュージシャンのオーディションにまで立ち合い、全面的に監修にあたりました。
 2人が語っています。
 「驚いたことに、ほぼオリジナルの歌詞で全編を通すことができたんだ。〈ブレイク・フリー〉は主人公の心境を表現するのに、ぴったりだった。元来、クイーンの曲は自由について歌っているものが多いから」

 クイーンのヒット曲を網羅し、俳優/放送作家のベン・エルトンが脚本を書き、ロバート・デニーロが設立したトライベッカ社(彼がNYのトライベッカに住んでいるから、この名前ね)が出資(15億円のうち9億円)。ストーンズ、ユーミン等で知られているマーク・フィッシャーがセットを手がけ、照明はハイテクとローテクを斬新に織りまぜた、ウィリー・ウイリアムス渾身の仕事と、世界のスター・スタッフが結集したこのロック・ミュージカル。
 ブライアン・メイが、こんなコメントを寄せています。
 「このミュージカルはQUEENのヒストリーではなく、QUEENの楽曲を使ったミュージカルなんだ。音楽が抑制された世界のなかで、苦闘しながら「自分」というものについて考え、過去の遺産となったロックをキーワードに、それぞれがどう生きていくべきかを考えるストーリーだ。皆さんが、この旅を楽しんでくれることを、心から願っている」
 ロジャー・テイラーは、こうです。
 「アイデアが生まれてから完成にまでは、ずいぶん長いことかかったよ。莫大な費用もかかったけれど、これはぼくたちが本当にやりたかったことなんだ。出来上がった脚本を見て、ロバート・デニーロが一緒にやろうって言ってくれた。トライベッカという制作会社を設立するにあたって、このミュージカルを第1回作品にしたいと言ってくれてね。これは本当に面白い、明快なショーだと思うよ」
 ストーリーはこんな風に始まります。
 時は2046年、地球上の楽器がすべて葬られ、グローバル・ソフト社のCEO、キラークイーンは人心をコントロールし世界を手中におさめようと、コンピューターによる画一的なサウンドを人々に押しつけた。
 その動きに対抗しようと立ち上がったのが、ガリレオとスカラムーシュという2人の若者。2人は自分たちで歌詞とメロディを書き、歌い始めた。そして楽器が隠されている場所を探す冒険に、旅立つのだった。

 ありがちなストーリーに、たじたじッとした私。ブライアンとロジャーのようには、喜べませんでした。
 というのも、私ならタンザニア生まれでインド育ち、家族の宗教はゾロアスター教、そしてもちろんゲイというフレディ・マーキュリーの人生をテーマに書くわけで、そうしたかったのですが、頼まれなかったから仕方がない。
 ブライァンが、こういったは20世紀 SF的なストーリーを選んだのには、わけがありそうです。
 ジョージ・オーウェルが1949年に書いたSF「1984」では、国家があらゆる手段で人々の考えや行動をモニターする恐怖の未来社会を描かれていましたが、ブライァンが学生時代に結成したファースト・バンドの名前が「1984」。よほど、この手のストーリーが好きらしい。

 ブライアンが「だんだん世の中が、このストーリーとの関連性をましている」と言えば、ロジャーも「最近のミュージカルは内容が薄いものが多いけれど、このミュージカルは社会的にも意味があると思う。若い世代の方が、理解しやすいかもしれない。若い観客も大勢見に来てくれ、ぼくたちが世代の架け橋になっているようで、喜んでいるんだ」と語っています。
Photograph of original Australian touring cast by Serge Thomann.
photo by Richard Young
▲1000回記念公演の模様。1月12日にはロンドン公演が1000回を迎え、ブライアン・メイとロジャー・テイラーがサプライズゲストで登場、演奏を披露し観客を沸かせた。更に、ポール・ロジャースを迎えてのQUEENヨーロッパ・ツアーも発表され、ますますQUEENブームに拍車が掛かる今年、ミュージカルの歴史に新たな1ページが加わることだろう!
Photograph of original Australian touring cast by Serge Thomann.
Photograph of original London production by Catherine Ashmore and Dave Bennett.
※権利者の許可を得ずに、複製することを禁じます。
 QUEENのヒット曲が総動員された音楽には、当然文句ナシ。
 でも、ブライアンの発言「元来クイーンの音楽は自由を歌ったものが多い」には異議ありで、クイーンがメッセージをもち始めたのは、ジョン・レノンの死に影響された82年の『ホット・スペース』あたりからだということは、前回書きました。
 77年に書かれた〈ウィ・ウィル・ロック・ユー〉や〈ウィ・アー・ザ・チャンピオン〉が一人歩きして、同年のヤンキーズ優勝から(不本意なことに)イラク戦争にまで使われても、当初フレディはこの2曲をメッセージをこめて書いたのではないというのが事実です。

 (前回の長い原稿とだぶりますが)反体制の代名詞としてのロックが終焉を迎えた73年にデビューしたQUEENは、最初からエンターテインメント指向をもっていました。構築力のある楽曲の構成、ポップスにクラシックの要素をもちこんだことといい、当時は批判の対象になったエンターテインメント性が、逆に楽曲が古びない結果を生んでいるのです。
 だから、カラオケ行ってQUEENを歌うと、盛り上がるでしょう?あなたが歌っても盛り上がるんだから、「WE WILL ROCK YOU」のキャストが歌えばもっと盛り上がり、ポール・ロジャースのすてきにシブイ歌声で歌っても、盛り上がるように、曲ができているというわけです。
 私は演歌の殿堂、新宿コマ劇場と「女王様」の取り合わせ、歌舞伎町という舞台も含めて楽しみたいと、手ぐすねをひいています。

 ロンドン公演では、オヤジ客がここぞと身体を揺らしているそうです。通常は女性客と観光客でいっぱいのミュージカルに、「お父さんたち」が来るのはQUEENならではの現象で、いいことです。
 日本公演も、男性客にぜひ見に行って欲しいし、その動員がロングラン成功の鍵をにぎっています。夏休みの終わりまでやりますから、キムタク効果でQUEENならYESと言ってくれそうな、お子さんを誘ってみます?
 それとも1人で、拳をあげに行きますか。

 え?フレディ・マーキュリーの銅像が劇場近くに立てられた? 日本的ですねぇ。だんだん、コマ劇場モードになってきていて、いい傾向だと思いますけど。
「We Will Rock You」公演は新宿コマ劇場にて、5月27日から8月24日まで。
問合わせ先:WWRY事務局03-5457-3556、http://www.wwry.jp
 ブライアン・メイが、こんなコメントを寄せています。
 「このミュージカルはQUEENのヒストリーではなく、QUEENの楽曲を使ったミュージカルなんだ。音楽が抑制された世界のなかで、苦闘しながら「自分」というものについて考え、過去の遺産となったロックをキーワードに、それぞれがどう生きていくべきかを考えるストーリーだ。皆さんが、この旅を楽しんでくれることを、心から願っている」
 ロジャー・テイラーは、こうだ。
 「アイデアが生まれてから完成にまでは、ずいぶん長いことかかったよ。莫大な費用もかかったけれど、これはぼくたちが本当にやりたかったことなんだ。出来上がった脚本を見て、ロバート・デニーロが一緒にやろうって言ってくれた。トライベッカという制作会社を設立するにあたって、このミュージカルを第1回作品にしたいと言ってくれてね。これは本当に面白い、明快なショーだと思うよ」
▲5月5日から、メルボルンで開催中の、インターナショナル・ジャズ・フェスティヴァルを取材中。メルボルンはアーティスティックな街で、オブジェや、歴史的建造物と近代的なビルが共存して、見ていて飽きません。
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