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女声で梅雨を乗りきる [2005.06.21]
 わ〜ん。急に引っ越しをしなくてはならなくなりました。時は梅雨。それでなくても、苦手な季節なのに。
 と言っていても、始まりません。ここは気分を変えていくしかないのです。
 そんな私の事情もあって、今回は「梅雨」だって元気仕様にしてしまう、ポジティヴな力に充ちた女性シンガーの新作をご紹介しましょう。
 まず、リズ・ライトです。彼女はいいですね。ちょい暗めな歌に、ぐっときます。
 彼女がその全貌を現した『ドリーミング・ワイド・アウェイク』は、この夏の定番におすすめ。ビートルズも歌った「テイスト・オブ・ハニー」が、ギターを伴い、陰影をもったブルース調で歌われる冒頭からノック・アウトです。
 リズの低い歌声には、ブルースの粒子がちりばめられているようで、タイトル曲〈ドリーミング・ワイド・アウェイク〉他、オリジナル・ナンバーを歌っても、何を歌っても深いところで心に響くのです。
 教会の牧師だった父親の影響で聖歌隊に参加し、ジャズ、ブルースに目覚めたという彼女は、まだ25歳ながら歌にエモーションをこめることができる。それがリズ・ライトを希有な存在に高めています。

 南部的なギターやハーモニカをバックに歌った、ニール・ヤングの「オールド・マン」にも、リアリティだけじゃなく、若い女性ならではの夢をつけくわえて、お見事。今後も目が離せない人です。
※権利者の許可を得ずに、複製することを禁じます。
 日本の作品からは、奄美島唄の伝承者にしてゴッドマザー、朝崎郁恵の『おぼくり』がお勧めです。
 朝崎郁恵は御年70歳。田端義夫がヒットさせた名曲「十九の春」を、今のこととして歌える艶、若さみなぎるこぶし回しが素晴らしいのです。

そのバックをつとめるウォン・ウィン・ツァンのピアノ、キーボードにも聴き惚れました。2人のデュオによる「竹田の子守唄」や、ラストを飾った「故郷」には泣きましたね。
 朝崎の歌声が、寄せては返す波のように自在に揺れ、それをスポンテニアスに支えるピアノがよくて、その即興ピアノ・ソロのパートで感動が更に深まるというシナジー。こういう共演を、相乗効果とよぶんですね。ゴンチチがギターで参加した「千鳥浜」からも、哀感が迫ってきました。
 朝崎郁恵が奄美島唄にとどまらず、日本の唄を歌った『おぼくり』。生涯をかけて歌い続けてきた朝崎郁恵の存在に感謝しつつ、日本の女性の強さ、可愛らしさを改めて知った作品でした。
 こういった「女声」の強さに支えられて、引っ越しを乗りきりたいと思います。
 あなたも梅雨時は、どうか健康にご留意下さい。お元気で〜
朝崎郁恵
『おぼくり』

東芝EMI
TOCT-25659
2005/05/18発売
※権利者の許可を得ずに、複製することを禁じます。
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