ヨウ この2枚の『デュエット』がライヴ録音されたのは、今年2月、大阪ブルーノートででした。私は、大阪まで聴きに行き、楽しませてもらいました。でもピアノ2台でのデュオというのは、想像以上に演奏家としては大変だなと思ったのもホント。アンサンブルというより、ソロを互いにして、あるときは伴奏にまわるという、ソロ同様まったく手が抜けない状態ですよね?
小曽根 ピアノはオーケストラルな楽器ですから、2つオーケストラがあるようなものなんですよね。
塩谷 フツー、ごちゃごちゃになってしまいますよね。でも、ぼくたちは、そうならない。
小曽根 6日間公演があったんだけれど、最初の2日間は力が入っちゃってね(笑)。「もっと自由にやろう」と火曜夜、終演後に話し合って、水曜日からはドカーンといけました。
ヨウ あら〜 私が見たのは火曜日でしたね。それでも、2人のオリジナル曲、ラテンのリズムにバラードと、2人の作曲家、ピアニストとしての多彩さが伝わってくるステージでした。
塩谷 エンジニアのジョー・ファーラさんが1週間つき合ってくださり、彼の音作りに触れることができたのも、いい経験でした。
ヨウ デュオでもゲイリー・バートン、チック・コリアとそうそうたる音楽家と共演してきた小曽根さんですけれど、塩谷さんとのデュオはどうでしたか。
小曽根 デュオって、対等にやれる人としか成立しないんですよね。だから、ソルトとやったわけで。ソルトとやることで、ぼく自身も変われるんです。
今回はライブ・レコーディングできましたが、録音のためだけには弾けないじゃないですか。まず2人、そしてお客さんとの共鳴がなければ、いい音楽はありえません。ライブ盤はお客さんの歓心を買おうと、えてして弾きすぎるものですが、この『デュエット』はライブ盤としてはクオリティが高いと思います。即興は確かにジャズの醍醐味ではありますが、メロディをきちっと弾く、歌うということの大切さ、曲に対する謙虚さはもちたいですね。 〈ミスティ〉でも、「ルック・アット・ミー」という歌詞への理解が不可欠なわけです。ジャズは、どれだけアレンジできるかという品評会ではありませんから。