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中川ヨウのミュージック・ダイアリー

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渡辺貞夫さんの活動〜秋冬編

[2007.09.28]
 渡辺貞夫さんの楽歴で驚嘆するのは、1960年代終盤から現在まで、海外と国内における音楽活動を並行して精力的に行ってきたことです。その海外ツアー先は全米、アフリカ、ヨーロッパ、アジアへと広がっています。
 渡辺貞夫さんが、話してくださいました。
「日本人のグループを組んで、世界をツアーしたい。上っ面のオリエントではない、真の日本人の感性をいかした音楽を発信して、アイデンティティを伝えたいという願いを、アメリカ留学から帰って以来、今ももち続けているのです。
 日本人は、自分を表現することが、いまひとつうまくないと言われます。特にジャズの場合は、いまだにアメリカのフォロアーであるような感覚が強い。ですが、日本人本来のオリジナリティをもっと誇ってよいのではないでしょうか」

 では、その日本人ならではのオリジナリティとは、どういったことなのか、例をあげていただきました。
「考えてみると、日本くらい恵まれた環境はなく、育った風土は、その人に大きな影響を与えます。例えば、日本人には特有のデリカシーがあります。そこに自信をもっていい。また自然の音、川のせせらぎや虫の音を、雑音としてではなく、音としてとらえることができる。そういった特性があるのです」
 この言葉を裏づけるように、日本人メンバーを中心としたレギュラー・グループによる昨年の東南アジア・ツアーは成功裡に終わり、当地の若者たちの瞳は、彼の音楽に輝きました。それはかつて、70年代に、日本のファンにもあった輝きだったのです。
「海外の聴衆には、音楽を演奏家とともに楽しもうという意識があります。その点、最近の日本人リスナーは、楽しみ方が上手ではないかもしれません。現在では、多くの海外ミュージシャンのライヴが国内で行われていますが、ジャズを聴くのが、単なるファッション感覚になっているような気がします。
 かつて、60・70年代は、ミュージシャンも聴衆も熱かったものです。聴衆の姿勢はミュージシャンたちに大きな影響、力を与えます。今でも地方都市のクラブには、そういうファンがいますし、うれしいことに、ぼくのファンは今でも熱い。それは、8月に発売したライヴ盤『ベイシーズ・アット・ナイト』でも感じていただけることでしょう」
 その最新作の収録場所となった「ベイシー」は、岩手県一関市にある著名なジャズ喫茶です。音質に定評があるクラブですが、ミュージシャンにとっては、決して最高の環境だとはいえません。でも、「ベイシー」が好きだと、貞夫さんはいい切ります。
「オーナーの、菅原さんが大好きなのです」
 貞夫さんは、グループの良し悪しも、クラブのそれも、最後的にはすべて「その人」に帰するのではないかというのです。やさしいのですが、反面、大変厳しいことばですね。胸に刻んでおきたいと思います。
 1985年から今もつづく、彼自身のプロデュースによるクラブ・イベント「ジャズ・アップ・ザ・ナイツ」が、今年も9月末から六本木、STB139で開催されます。旧友ハーヴィー・メイソンを中心としたトリオとの共演が、とても楽しみです。
 11月下旬には、日本人を中心としたグループで、東南アジア・ツアー。
 クリスマス・シーズンに行われる、恒例コンサート「クリスマス・ギフト」は今年15周年をむかえ、ウィズ・ストリングスで開催される予定です。渡辺貞夫は、そのサキソフォンの演奏で、今日も世界の人々のハートに灯をともしているのです。
 さて、その「クリスマス・ギフト」の予告を、もう少ししておきましょう。ウィズ・ストリングス、今回は第3回目のピアニスト、アレンジャーであるラッセル・フェランテを招き、彼の編曲によるチャーリー・パーカーのレパートリーと、オリジナル曲が演奏されるというのです。これは、ファンにとっては限りなくうれしいプログラムですね。
 パーカーのウィズ・ストリングス作は、名作の誉れ高いのですが、今「女達のジャズ」を書いていて、文献を調べていると、思っていた以上にパーカー自身のたっての願いがかなってレコーディングしたこと、終生このアルバムを誇りに思っていたことがわかります。若き貞夫さんの心をジャズが深くゆさぶったのも、そのパーカーのストリングス作がきっかけだったと、以前読んだことがあります。
 ですから、そういったパーカーと貞夫さんの魂の共演、共振が聴けるだろうと、わたくしは思うわけです。

 第一部はラッセル・フェランテ(p)、デイヴィッド・フィンク(b)、イエロージャケッツのメンバーである、マーカス・ベイラー(ds)と、躍動をもった演奏で、オリジナル曲を楽しませてくれるでしょう。そして第二部で、押鐘貴之ストリングスとの共演で、パーカーのレパートリー集とオリジナル曲がウィズ・ストリングスで奏されるのです。
 今、渡辺貞夫のアルト・サキソフォンは、絶好調に鳴っています。年々暖かさを増し、しかもかつてないほど瑞々しい演奏を聴かせているのです。
 この秋も、クリスマス前も、貞夫さんのコンサートに行きます。
その暖かさを、シェアしていただきに。そして、今年の残りの日々も、喜びをもって過ごすことができるように。

渡辺 貞夫
「ベイシーズ・アット・ナイト」

ビクターエンタテインメント
VICJ-61508
2007年8月1日発売

権利者の許可を得ずに、複製することを禁じます。

渡辺貞夫 LIVEスケジュール

SADAO WATANABE
“JAZZ UP THE NIGHTS”

日程:9/28(金)〜10/4(木)
※9/28はクローズドショーになります
場所:東京 STB139 スイートベイジル
<お問い合わせ(東京公演のみ)>
M&M STUDIO:03-3403-6333
STB139 スイートベイジル:03-5474-1395

渡辺貞夫 クリスマスツアー 2007
日程:12/11(火)
場所:栃木・宇都宮市文化会館大ホール
<お問い合わせ>
宇都宮市文化会館:028-636-2125
下野新聞社事業部:028-625-1134

日程:12/12(水)〜12/14(金)
場所:愛知 名古屋ブルーノート
<お問い合わせ>
名古屋ブルーノート:052-961-6311

日時:12/15(土)
場所:大阪 ザ・シンフォニーホール
<お問い合わせ>ABCチケットセンター(ザ・シンフォニーホール内):06-6453-6000

日程:12/16(日)
場所:東京 Bunkamura オーチャードホール
<お問い合わせ>東京音協 03-3201-8116

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