先回に続いて、巨匠のベスト盤をよりすぐってお送りする、年末のダイアリー。クリスマスも終わって、さぁ、大晦日まであとひと頑張り。女性の皆さん、とくに大掃除など、働きどころが多い今。がんばりましょうねぇ〜
と自分もはげましつつ、ちょっと涙目で年賀状書きながら、わたくしが聴いているのが、エルトン・ジョンの『ザ・ベスト〜僕の歌は君の歌』です。すばらしかった。エルトンは、実に偉大なソングライターだということが、鮮明にわかるこのベスト。
1971年、エルトンをスターダムにおしあげた名曲〈ユア・ソング(僕の歌は君の歌)〉からスタートするのですが、もうこの曲だけで、我が世代は満足しちゃいます。わたくしが本作を高く評価するのは、本当にいい曲ばかりを収めているからです。
ということは、いきおい70年代前半の楽曲が多いのですが、それが正しいのです。そもそも、この選曲は、2007年にエルトンが還暦ツアーで歌うために自選したもの。元ダイアナ妃に捧げたリメイク・ヴァージョンが大ヒットした〈キャンドル・イン・ザ・ウィンド(風の中の火のように)〉(97年)も、元来74年のB面曲ですから、入っています。
ベスト盤にありがちな失敗は、時系列で曲を並べ、そのミュージシャンの才能下降線をみせてしまうことだと思います。ですが、エルトンの場合は、作曲家として自作曲を選ぶ耳をもっていることが幸いしました。バラードに定評がある人ですが、エルトン史上、初の全米No.1に輝いた〈クロコダイル・ロック〉(72年)など、ピアノ・マンとしておバカに暴れている曲も面白い。時代時代で、エルトンが成熟していく様子が、聴こえてきます。同時代を生きた方は、驚きますよ、エルトンの曲を知っていることに!いろいろ思い出す個人史シーンも、あることでしょう。
あぁ、曲を書けるということは、ミュージシャンにとって、最強の武器なのですね。感動の1作です。

次のジェームス・テイラーも、シンガー・ソングライターです。こちらは彼が2007年に行ったライヴの模様を、CDとDVDで収録したもので、名づけて『ワン・マン・バンド』。
ジェームスのようなテンダーな歌唱法の場合、年齢はさほど関係ないので、歌唱力がおちていません。ですから、見事なアルバムになりました。
勝因は、彼自身が”ワン・マン・バンド”と呼んだ、ジェームス(歌&ギター)とラリー・ゴールディングス(キーボードほか)だけのスモールな編成にあります。そのシンプルな背景が功を奏し、彼のやさしい楽曲が、聴き手にそっと手渡されるのです。
CD編では19曲中、〈きみのともだち(ユーヴ・ゴット・ア・フレンド)〉だけ、キャロル・キングの作詞・作曲ですが、この曲だけで、わたくしなどウルウルです。
ブルースの〈スティームローラー・ブルース〉以外は、テンダーな自作曲が続くのですが、全編を聴き、これほど自身のテイストを貫いたシンガー・ソングライターもいないだろうと感嘆しました。
聴くだけでやさしい気分になれるのが、うれしいのです。
年末に「やさしい気分」は、欠かせません。ですけれど、その気分になるのが、今ほど難しい時期もありません。だから、音楽の力を借りて、テンダーに。
あなたも、どうか心穏やかな年末をお過ごしくださいね。がんばりすぎないように。地球が終わるわけではありません。1年が、終わるだけなのですから(笑)
エルトン・ジョン
『ザ・ベスト〜僕の歌は君の歌』
ユニバーサルミュージック
UICR-1070
2007年11月7日
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