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中川ヨウのミュージック・ダイアリー

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ハクエイ・キムのスタンダードの高さ

[2008.02.29]
 お気に入りのピアニスト、ハクエイ・キムが、スタンダード集を放ってきました。成熟と革新、その双方が新作『シャドウ・オブ・タイム』にみなぎっていて、オーストラリアでジャズを学んだこの注目のピアニストの成長をうれしく聴きました。

 デビュー作から変わらぬ、いつものオーストラリア学友トリオによる、シドニー録音。このトリオのすばらしさは、さすがマイク・ノック門下生です。即興演奏にたけていて、相手の音を聴いてから反応していることが、手にとるようにわかるのです。今まではオリジナル・ナンバーを中心に発表してきたハクエイですが、今作ではスタンダードに挑戦し、それを重荷に思うことなく「かえって自由に、ピアノ演奏に集中できました」(ハクエイ談)。
 その設定スタンダード(標準)と、志の高さが、ハクエイの素晴らしい点ですね。
 かなりツウ好みの選曲で、そこにもハクエイらしさがでています。
 ピアニストとして評価したいのは、シダー・ウォルトン作曲〈ホリーランド〉での演奏でしょう。バッハのインベイションのようなイントロでスタートし、元来シンコペーションが達者な彼の演奏が聴きものです。
 また、ジョーン・バエズなどの歌で知られている〈ドナ・ドナ〉には、参りました。この楽曲、どこまでもシンプルでしょう?それを、深く掘り下げると、こんなに深さがあったのね、というのが偽らざる感想です。

 聞けば、ハクエイが子供の頃に音楽の授業で歌って以来、好きな曲なのだそう。
 〈ドナ・ドナ〉の静謐なイントロは、涙なくしては聴けません。本トリオならではの音楽的会話で、ベン・ウェイプルス(b)が素晴らしいソロをとると、その間は沈黙するデイヴ・グッドマン(ds)がいる。テンポを一気に速めてからは、一体となって疾走する。そのスピードとエネルギー量が圧倒的でした。

 スウィングするビクター・ヤング作曲の〈ア・ハンドレッド・イヤーズ・フロム・トゥデイ〉、タッド・ダメロンが作曲した〈レディー・バード〉の美しさも心に残ります。
 クリシェな表現ですが、ピアノ・トリオ・ファン、必聴のアルバムになっています。
 ますます独自性に磨きをかけた(オーストラリアのジャズは、実に独創的なのです)ハクエイが、3月2日(日)、モーション・ブルー横浜に、レコ発で出演します。
 しかも!、豪トリオが、初めて日本で結集するのです!
 わたくしは、出張を早めに切り上げ、横浜に直行します。3人ならではの「間」、緩急自在の演奏を、聴きのがすわけにはいきませんから!

ハクエイ・キム
『シャドウ・オブ・タイム』

株式会社ディスクユニオン
DIW-634
2008年01月25日発売

権利者の許可を得ずに、複製することを禁じます。

3月2日は、とびきり素晴らしかった。
ハクエイのオリジナルは、やはりあのトリオで聴くべき音楽なのですね。
ハクエイのピアノの個性が、この豪トリオだと、くっきりと浮きでて、初めて真にハクエイのピアノを聴いたという感慨をもちました。 彼らには、また来てもらいましょう♪

 過日、三田にあるオーストラリア大使館で、マレイ・マクリーン在日オーストラリア大使主催の、ロス・スコット参事官の離日パーティがありました。
 ロスさんとは、日豪交流記念の2006年に、「オーストラリアのジャズを日本に紹介しよう」プロジェクトで、ご一緒に仕事をさせていただきました。豪に招待いただき(2005年)、大変多くの演奏家、プロデューサーの知己を得て、今も交流が続いています。
 日本留学の経験があり、親日家で、夫人も大和撫子というロスさんは、日本語もわたくしより上手。やさしいばかりか、知性もユーモアもある、外交官のお手本のような方です。わたくしのラジオ番組に出演してくださったときも、すべて日本語で会話されたことを、昨日のことのように思い出します。そんなロスさんが日本を離れられることは、とても残念ですが、首都キャンベラ市に戻ってEU担当になられると伺いました。
「これからわたし一人で8カ国を担当しますが、日本は参事官一名が専任しています。オーストラリアがどれほど日本との関係を大事に思っているか、この一事でもおわかりでしょう?」
 そう語りかけるロスさんを中心に、大使館の明るく楽しい皆さんと、美味しいお料理をいただきながら、話が弾んだ夜でした。

マレイ・マクリーン在日オーストラリア大使と、大使公邸で

豪に戻られるロス・スコット参事官と

ロスさん、最先端のアートを伝えるサイト、Realtokyo発行人の小崎哲哉さんと

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