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中川ヨウのミュージック・ダイアリー

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映画「コントロール」を観て

[2008.03.11]
 今年は、昨年同様、音楽映画の当たり年になりそうなのです。今年の場合は、特にミュージシャンを主役にすえた映画が目白押しです。

 一連のブルース映画で、音楽ドキュメンタリーへの自信を深めているマーティン・スコセッシが撮った”ザ・ローリング・ストーンズ”のドキュメンタリー、「シャイン・ア・ライト」がついに完成したというニュースが入ってきました。興味津々。早く観たいですね。
 次作は、「ジョージ・ハリソンのドキュメンタリーに着手したい」と、スコセッシ監督の鼻息は荒いのです。

 でも、あまり先走らずに、すぐに観られる映画のことを今日は書きましょう。ミュージシャンのポートレイトやPVで名高い写真家、アントン・コービン(1955-)が初監督した「コントロール」について書きたいと思います。
 この映画は、実在した”ジョイ・ディヴィジョン”というグループのヴォーカルで、23歳で自ら命を絶ったイアン・カーティス(1956-80)の伝記映画です。
 モノクロで、70年代後半のイギリスの活気のない小さな町と、そこで育ったポスト・パンクのロッカーの心模様を、ていねいに描いていくこの「コントロール」。

 イアンを演じるサム・ライリーの憂いをふくんだ大きな瞳に、すいこまれそうになりながら観ました。メロディは単調ですが、歌詞に若者の等身大の不安がこめられているので、”ジョイ・ディヴィジョン”の音楽も胸に刺さります。
 ストーリー展開のテンポ感が、ゆっくりで、気が短いわたくしにはついていくのに苦労がありましたが。
 さすが名写真家であるコービン監督で、どのシーンも画の構図が完璧なのです。その画を見せることに腐心したための、テンポ感なのだと理解しています。
 妻と恋人の間での葛藤、てんかんの発作への怖れ、目前の名声がもたらすプレッシャーが描かれていきますが、そういった主人公イアンの苦悩とともに映画のテンポでため息をつくには、若さが必要かもしれません。時間がたっぷりある人の方が、一緒に悩めるでしょうから。
 でも、たとえそうでなくても、ポスト・パンクが好きな人は、陶酔するはず。もしくは、瞳が大きい男子が好みの人、新人俳優の発見に喜びを見いだすタイプ、モノクロ映画ファンにもお勧めです。さきほども触れたように、画の構図が見事なので、逆に写真を志している人も見逃せませんね。
 今後、中川ヨウのミュージック・ダイアリーでは、シンガーであるノラ・ジョーンズが主演した「マイ・ブルーベリー・ナイツ」もご紹介します。音楽映画ではありませんが、ノラの初出演にして、初主演作。わたくしが好きな「花様年華」(2000)をとった、ウォン・カーウェイ監督作品です。恋と自己発見と、距離との関係を描いた物語。
 また、ゴールデンウィーク公開予定の「アイム・ノット・ゼア」には、感激しました。ボブ・ディランの映画なのですが、6人の俳優が、ディランを演じ分け、誰も「ディラン」と名乗らない。だから、「アイム・ノット・ゼア」なのですね。ディランの音楽満載の映画ですが、同名タイトルの未発表曲も、聴くことができます。
 どうぞ、お楽しみに。

『コントロール』
© Northsee Limited 2007
3月15日(土)より、シネマライズほか全国順次公開

権利者の許可を得ずに、複製することを禁じます。
JZ Brat(渋谷)に寄ったら、洗足学園音楽大学で教えている学生たちが出演していた。
がんばっているのがわかり、とてもうれしかった。新鮮なグルーヴもハートを熱くした。
今の気持ちを忘れずに、がんばれ。
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