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中川ヨウのミュージック・ダイアリー

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チック・コリアと上原ひろみ、デュオ@武道館!

[2008.05.26]
 チック・コリア上原ひろみの、ピアノ2台だけのコンサートが、4月30日、日本武道館で開催されました。
 まず、公演後の2人の感想から聞いてください。チックは、こう言いました。
 「昨年のブルーノート東京と同じ曲を演奏したのに、全く違う作品をひろみと共に作れたことにまだ興奮している。エキサイティングで、とても楽しい夜だった」
 上原ひろみは、次のように語りました。
 「全身全霊でチックさんの音を聴いて、今までとは違った音楽の会話が一緒に出来たと思います。 ふと一瞬、17歳のときに初めてステージでご一緒したときのことが浮かび、不思議な感覚にとらわれました」
 「ウェルカム・トゥ・武道館・ジャズ・クラブ !」
 それが、チック・コリアの第一声でした。
 チックと上原ひろみのデュオ・コンサートとあって、武道館は2階席までほぼ満席。
 チックのこれまでのピアノ・デュオ歴を振り返ってみても、今回の上原ひろみが今までで最高のパートナーだといえると思った、その夜のコンサート。チックには、豊かなデュオ経験がありますが、相方はハービー・ハンコックにキース・ジャレットと、同等かちょい上目線のピアニストたちでした。どちらも、チックは楽しんだに違いないのですが、それ相応の努力を強いられたという印象が、聴いていてもありました。

 ですが、上原の場合、ずっと年下ですし、彼女のことばにあったように高校生のときに初めて会い、そのときにデュオで弾いたという、彼女側からの全幅の信頼がある。それを包容する、度量がチックにはあります。
 また、男性と女性という、ジェンダーも音楽上、ここでは味方になったのです。女性の方が、表面上、アグレッシヴな傾向が強いという印象をわたくしはもっていますが、当夜も上原は、そのファイティング・スピリットをもってこのコンサートに臨みました。その「仲良しクラブ」に陥らない振る舞いが、成功の要因になったのでしょう。また、「全身を耳にしてチックを聴いた」という彼女の集中力、そして長年にわたる2人の師弟のような信頼関係が育んだ成功だったのです。

 2人は「似せようとする」方向に向かうのではなく、かといって、「あえて違えようとする」方向にも進む必要もなく、あくまで自然体で自らの表現に臨むことができたわけです。
 この2人の共演は、さきほどもふれたように、上原が高校生の頃に端を発するのですが、久々の共演となった2006年「東京ジャズ」では、まだ未完成のままでした。絵画に例えるならスケッチという趣で、双方から別々のモチーフが提示され、それを2人も聴きあうといったコンサートでした。  ですが、今回はちがいました。
ブルーノート東京で行われたギグを経て、その夜は色彩や背景が描き込まれ、2人して織りなすタペストリーの美しさ、壮大さに息をのんだのです。
 ガーシュウィンが作曲した〈サマータイム〉では、チックが夏の夜のミステリアスな空気感を表現し、上原がスタートした内部奏法(ピアノのなかの弦をはじいたりして演奏すること)に呼応していきます。上原は低音を活かすため、低音域を右手で弾き、手を交差させて、高音域のメロディを左手で弾きました。
 運指や、チックを見つめる大きな瞳を間近に見ることが出来たのは、巨大プロジェクターと、その撮影の巧みさがあってのことでした。

 チック作曲の〈チルドレンズ・ソング12番〉では、上原は体全体を使ってピアノを鳴らしました。彼女がきらめきを描くと、チックのピアノがその光を広大な場へとたちのぼらせ、聴き手を月の道へといざなうかのようでした。
 そして場面が急展開し、そこから躍動をもった物語が始まるのです。
 このように、物語性があったことが、このデュオの素晴らしさとして特に書いておきたいことでした。

 ジョン・レノン作曲の〈フール・オン・ザ・ヒル〉では、上原がメロディを弾き、チックがいわゆる伴奏にまわります。このように、チックは懐が深いのです。
 2人のダイナミズムを最大限にいかした演奏からは、オーケストラルなピアノの魅力が伝わってきました。
 ラグタイム調の奏法をチックが試みると、ほほえむ上原。チックのユーモアは、コンサートを随所で楽しくしたのですが、最終アンコールとして演奏された、チックの作曲として最も有名な〈スペイン〉では、上原の隣に座り連弾も披露しました。
 一人で弾くときは、自作曲であるため、近年特にこの名曲を壊すことに意欲をみせるチックですが、このデュオではメロディ、リズムは壊さずに即興もするという、ちょうどよい加減のバランスで見事な演奏となったのです。
 喜んだ聴衆は、そろいの手拍子で演奏に参加しました。武道館が本当のジャズ・クラブになった瞬間でした。
 公演の翌日、チックは「ニューオリンズ・ジャズ」に参加するためアメリカへ戻り、上原はポルトガルヘと旅立ちました。約1ヶ月におよぶ彼女自身のヨーロッパ・ツアーが始まるからです。

 結婚し、プライヴェートばかりか、ピアノも今が絶好調な上原ひろみ。実は初のスタンダード集『ビヨンド・スタンダード』が近日リリースされますが、聴いたところ、今はまだオリジナルに軍配があがるという印象をもちました。なぜ、そう思ったのかといいますと、アレンジに凝った作風で、スタンダードの美しいメロディを奏する「単純な余裕」がみられないから、そう感じたのでした。
 スタンダードを弾くことは、いつでもできますから、今はまだその時期ではなかったかもしれません。
 上原ひろみには、今はばりばりオリジナル曲を書き、がんがん演奏してもらいたい。そしてチック・コリアとのデュオも、また数年したら、ぜひ再演してほしいと願っています。

チック・コリア上原ひろみ
『デュエット』

ユニバーサルミュージック
UCCO9181
2008年01月30日発売

権利者の許可を得ずに、複製することを禁じます。

【小檜山先生のSTUラボに押しかける】

小檜山賢二先生が、慶應義塾大学 sfcを退官され、STU研究所を創設された。大型連休のある日、先生にお世話になったsfcの有志で、そのSTU研究所に押しかけました。小檜山先生のゾウムシに関するプチ講義もあり、みなさんとの話も 弾み、大変楽しいひと時をすごすことができました。感謝。

各自食べ物を持ち寄ったのですが、お赤飯からとれとれのキャベツまで(天笠さんの父上の丹精)と、その多彩さがsfcらしく、小檜山始子夫人の手料理、華さんの手作り餃子も美味しく、おなかも大満足。いやぁ、楽しかったぁ。

小檜山先生も出展しておられる、NTTコミュニケーション・センター(ICC)で開催されている、「オープン・スペース2008」に啓発された。メディア・アートを代表する数々の作品を「体験」できるので、実に面白い。先生の作品『マイクロ・プレゼンス』は、ゾウムシのデジタル映像を、迫り来るクローズアップで見ることができるというもの。クローズアップで見ると、虫の印象を超えた、迫力に圧倒される。2009年3月8日まで、初台オペラ・シティに隣接したビルで開催されているので(無料)、ぜひ足を運んでみてくだい。

ICCでの、小檜山先生の展示。今回は静止画ですが、アップの迫力は圧巻

我らが小檜山賢二先生。胸元のゾウムシに注目されたし。

小檜山先生が創設されたSTU研究所に、sfcでお世話になった皆で押しかけるの図。

左から加藤文俊先生、熊坂研の山崎さん、岡部大介先生

右が熊坂教授

中川ヨウとおいしい料理を作ってくださった小檜山始子さん

左から川田さん、川田弟さん、清水さん、幹事役の森田さん

研究員の武笠さんと松村さん

小川克彦教授

華金玲さんご一家。花花(ファファ)ちゃんが、とてもかわいい。

NTT 研究所から塾sfcに研究にきている日高さん

中西先生とはこの日が初対面でした。

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